前回の記事で、「自分の中心」「自己(Self)」へのアクセス、ということを書いたところ、友人から質問をもらいました。
「自分の中心にいる」って、どういうこと?
確かに、「自分の中心」「自己」と言ってもわからないですよね。良い機会なので、まとめてみました!
「自分の中心」「自己」とは、どのように感じられるものなのか?
「自分の中心」「自己」と呼ばれるものはどこにあるのか?具体的な場所があるわけではないのですが、主観的に理解しやすいのは、
「思考のスキマ」です。
どんな人でも、思考からは離れられないもの。でも、全く休みなく思考がめぐっているわけでもなく、普通は思考と思考の間に、何かしらのスキマがあります。このスキマで感じることができるのが「自分の中心」「自己」と言って良いでしょう。
この「思考のスキマ」は、最初は感じるのが困難なこともありますが、瞑想などをしつつ、思考と思考の間の一瞬に何を感じるか?と探っていくと、次第に分かりやすくなります。主観的には、静けさの感覚や、空っぽなスペースがあるような感覚を覚えたりします。静かで空っぽな感じなのでスルーしがちなのですが、この「思考のスキマ」を確保し、(潜在的にでも)マメに感じられている状態が「自分の中心」「自己」にとどまる状態です。
こう書いてみると不思議な感じですね。
「自分の中心」「自己」を見失うとは?
でも、この「思考のスキマ」=「自分の中心」「自己」にふれる時間がすごく短くなり、その頻度も落ちてしまうことも珍しくありません(むしろ、現代人にとってはこちらが標準かもしれません)。これが、「自分の中心」「自己」を見失った状態です。代表的なパターンを2つほど挙げてみましょう。
パターン(1)
例えば、仕事の懸案事項や、上司との人間関係、彼女のこと、、、いろいろな事柄に思いをめぐらすばかりで、思考が休まる暇がない。こんな状態は「自分の中心」「自己」を見失った状態の典型です。
モデル的に図に表してみると、こんな感じです。
「頭が回りっぱなし」「気が休まらない」なんて俗に言われるのも、こんな状態です。また、この状態を「忙しい=心を亡くす」と言ったりもします。
非常にストレスが溜まりやすく疲れますし、自分が振り回されているような不快感、自分の人生を生きられていない!という不満も感じやすい状態です。
パターン(2)
「自分の中心」「自己」を見失う別のパターンとして、「特定の人・モノ・コトに意識が行ったままになってしまう」というものがあります。「好きな人のことをずっと考えて、夜も眠れない!」なんていうのが好例です。
図に表すとこんな感じ。恋愛で、「心奪われる」「相手に執着する」なんて言いますが、そういう時の意識状態がこんなイメージです。
対象に意識が貼りついちゃって、「自分の中心」「自己」に戻ることがない。「ドキドキを楽しむ」とも言えますが、気持ちが休まらず、心身の深いところではけっこうストレスが溜まる状態だったりします。
もちろん、このパターンに陥るのは、恋愛ばかりではありません。ムカつく奴のことが頭から離れない、心配ごとで頭がいっぱいで物事に手が付かない、、、なんていう時も、意識はこういう状態になっています。
また、ゲームに没頭して「我を忘れて」いるうちに時間がどんどん過ぎてしまう、、、なんて場合も、こうした意識の状態になってしまっているものです。
余談ですが、「カリスマ」と言われるような人は、他人の意識をこの状態に持っていくことが上手な人のことを言います(笑)。その人本来の能力・魅力で自然とこのような状態を周囲に引き起こす人もいれば、恐怖や不安で人をコントロールしてこの状態に持っていく人も。この「カリスマ」もけっこう深いテーマですが、それについてはまた別の機会に。
「自分の中心」「自己」にとどまっているとは?
逆に、「自分の中心」「自己」にとどまる、というのは、以下の図のような状態です。
いろいろと考えることはあるけれど、それらの思考に忙殺されることなく、ちょくちょく思考のスキマ=「自分の中心」「自己」に立ち返ってくる状態です。主観的には「一歩引いた状態」「冷静な状態」と感じられることが多いです。
この状態に留まることができると、忙しい中でも冷静さを保て、気疲れにくくなりますし、いろいろなことをテキパキとスムーズにこなしやすくもなります。また、頭が冴え、抽象思考力も発揮しやすい状態です。
仕事などをしていて、すごくやることが多いのに、頭の中が妙に冷静で、かついつも以上にテキパキとタスクをこなせている、、、そんな「ゾーンに入った」とも言えるような状態を過去に経験した方もいらっしゃるかと思いますが、そんな時は、「自分の中心」「自己」に立ち返ることが、高いレベルでできている時です。
また、瞑想などに熟練した人の場合は、もっと高いレベルで「自分の中心」「自己」にとどまる状態を作れるようにもなります。この場合は、思考のスキマに留まる時間が伸び、思考が湧いて来る頻度が減ります。
意識の流れを自覚して、思考のスキマに気づこう。
できることなら、いつも後者の「自分の中心」「自己」にとどまった状態で居たいものですが、現代人にとって、これはけっこうハードルが高いことだったりします。
でもこれは、練習で上手くなる、学習可能なスキルです。
ちょっと上達すると、ストレスが溜まりにくくなったり、生産性が上がったりします。
もっと上達すると、自分にとって本当に大切なこととそうでないことが分かり、人生がシンプルにまとまりながらも、創造的に前進していくようになります。
カギは、自分の思考・意識の流れを自覚して、思考のスキマに気づいていくことにあります。
今後、「自分の中心」「自己」に留まることが上手くなるために役立つ記事なども、少しずつ書いていこうと思います。