ポジティブな言葉を使って自分を鼓舞する、という手法は、誰でも一度は使ったことがある、ポピュラーな手法と言えるでしょう。
心理学を学んだ人などは、こうした自分へのポジティブ・前向きな声かけを、「アファメーション」と呼んだりもします。
このアファメーション、心の状態を管理するツールとしてかなり多くの方に知られているのではないかと思います。
が、自分にポジティブ・前向きな言葉がけをして、それが本当に気分を良い感じにしてくれるかというと、上手く行かないケースもあるのが実情ではないでしょうか(実践した方の多くが経験していると思います)
実はこれは当たり前。背景にはちゃんとメカニズムがあります。
今回は、ポジティブな言葉・アファメーションの本当の役割、そしてその上手な活用方法です。
ポジティブな言葉・アファメーションは、自分の中にあるネガティブな部分を浮き上がらせ、認知不協和を引き起こすツール。
実は、ポジティブな言葉・アファメーションを自分に向かって唱えた時に最初に起こることは、
そのポジティブな言葉と矛盾する材料が、内面から浮き上がってくる。
ということだったりします。
例を挙げましょう。
例1)「あなたはあなたのままでいい」と言われて、「まあ、そうかもしれんけど、私のこんなところやあんなところは自分でもイヤだし、そうも思い切れないなあ」と思った。
例2)収入を上げたくて、「倍稼ぐぞ!」と言ってみたら、「それはいいけど、どうやってやればいいのかわからん!」とか、「いくらなんでも倍は望みすぎでしょう~」など、反論する心の声がいろいろ出てきた。
自分にウソを付くことに慣れている人、自分の内面の声を聴くことが極端に苦手な人以外は、ポジティブな言葉やアファメーションは、その内容と矛盾する何らかの思いを浮き上がらせるのが普通です。
※本当に矛盾する思いがない場合もありますが、そういう場合は、ポジティブな言葉・アファメーションを使おうとそもそも思わないはずです。
心理学の言い方で言えば、認知不協和が起こるわけです。強い不快感を伴うことも多いです。
ポジティブな言葉・アファメーションを使う時は、引き起こされた認知不協和を消してやることが大事
実は、ポジティブな言葉やアファメーションを使う時に大切なのはここから。
認知不協和が起こったら、それを消してやらないと、認知不協和を引き起こして不快な気分になりました、、、でオシマイになってしまいます。
自分にポジティブな言葉を言い聞かせていたら疲れた、、、なんていう経験をされた方のお話を伺ったこともありますが、これも、認知不協和が消えなかったが故に、不快な気分になって疲れてしまったというケースです。
なので、せっかくポジティブな言葉や、アファメーションを使うなら、認知不協和をきちんと消して(減らして)あげることが大切になります。
※逆に、認知不協和を消すことができないなら、あえて自分にかけるポジティブな言葉・アファメーションは害になることのほうが多いです。
それでは、どうやって認知不協和を消せば良いのでしょうか。
身体をゆるめることを併用すると良い。
認知不協和と、それに伴う不快感をどうやって消すか?
ここで役に立つ知識があります。
「認知不協和は、身体の緊張を伴う」
「身体の緊張が解けると、認知不協和が軽減・あるいは消失する」
というものです。
身体の緊張が高まるから、不快感が出るわけですね。実は、この緊張を解いてあげると、認知不協和が軽減・消失していくんです。
身体の緊張というものは、
・全身が硬くなる
・呼吸が浅くなる
・目のフォーカスが狭くなる
という3つの領域で出やすいです。
なので、この3領域がリラックスすることを目指すと良いでしょう。
具体的には、自分にポジティブな声かけをして、認知不協和による身体の緊張・違和感が出てきたら、身体を動かしたり、胸・お腹、喉などの呼吸周りをさすったり、目の周囲をやさしくなでていたわってあげたり。
自分が想定したよりも強い緊張が出てくることもありますから、じっくり丁寧に身体をリラックスさせてやってください。すごく強い緊張を伴う場合は、時間・回数をかけてあげると良いでしょう。
身体がリラックスしてくるごとに、自分の内面から出てくる反論が弱くなり、前向きな言葉を受け入れやすくなっていきますよ。
ちなみに、認知不協和がほぼゼロになると、前向きな言葉を自分にかけるのがバカバカしくなります。認知不協和が弱まった結果、自分にあえて言葉で確認をする必要性を感じなくなった!というのがこの時に起こっていること。ここまで来ると、明確にモチベーションが上がる感覚が得られたり、未来の明るい展望が勝手にイメージされたり、深い安心感を感じたりと、かなり明確な心身の変化が得られます。
まとめ
長々と書いてきましたが、簡単にまとめると、
自分に対するポジティブな声かけ、アファメーションは、唱えるだけでは道半ばで、その言葉が引き起こす認知不協和を(身体から)軽減することがアファメーションの効果を発揮するためには重要ということです。
ポジティブな考えを自分に言い聞かせるというよりは、自分の中のネガティブな部分に気づき、それを解消するきっかけを与えてくれるのが、ポジティブな言葉やアファメーションの役割だと捉えるのがおすすめです。